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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
」と母親は昨夜も二時ごろまで待たされたことを話しながら、床をあげたり、板戸を開けたりした。
お庄は人気のない家のなかを、落ち着かぬ風であっちゆきこっち行きしていた。葬式や骨あげに着て行く自分の着物のことなどが気にかかった。田舎から来る、叔母の身内の人たちの前も、あまり見すぼらしい身装はしたくないと想った。
母親とお庄は、奥座敷の箪笥の前に立っていながら、そのことについていろいろと相談した。
「なあに間に合うて。今日の午前に目を落したって、葬式は明後日だもんだで……それも紋を染めていたじゃ間に合いもすまいけれど、婚礼というじゃなし石無地でも用は十分足りるでね。それでなけれアお此さんの絽の方のを直すだけれどな。」
母親は落ち着きはらって、いろいろの見積りを立てていた。
とにかくお庄は、叔父を捜しに出かけることにした。入舟町の方から渡って行く中ノ橋あたりは、まだ朝濛靄が深く、人通りも少かった。その家では、女中と娘の子とが起きているぎりで、遊びに疲れた主人夫婦も叔父も、今ようやく寝たばかりのところであった。叔父のたおれている座敷には、帯や時計や紙入れや飲食いした死骸などがだらしなく散らばっていた。