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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

「厭ねお照さんは。あんな中へ入って行くと、伝染しますよ。」と、お庄は蔭で眉を顰めた。

「大丈夫よ。私の体には病気が移りゃしませんよ。」と、お照は黄色い、かさかさした顔に寝白粉を塗って、色の褪せた紡績織りの寝衣に、派手な仕扱などを締めながら、火鉢の傍に立て膝をして寝しなに莨を喫っていた。

「移るものなら、もうとっくに移っていますよ。今から用心したって追っつきゃしない。」お庄は尖ったようなその顔を、まじまじ眺めていた。

「めったに移る案じはないけれどね。」と、母親も、傍で茶を呑みながら言った。

「それに叔父さんのは咳も痰も出ないもんだで、まだそれほど悪いのじゃないとも思うがな。」

「それがなお悪いのですよ。」お庄は打ち消した。

「どうしてあんな病気が出たものかな。家にゃ肺病の筋はなかったがな。」

「いいえお女郎から伝染るといいますよ。お女郎にゃ随分あるんですって。」

酒や女に耽っていた弟のだらしのない生活が、母親の胸に想い回された。

「あれで臥つきでもしたらどうするだか。」

「いいですよ。叔父さんだって可哀そうじゃありませんか。私きっと叔父さんを見達けてあげますよ。」