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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
「こんな物は皆なお前にあげるよ。三月も溜めておいちゃ空罎屋へ売るんですがね、どうして大きいものですよ。お前はそのお鳥目を自分のものにして除けておおきよ。これまでは芳の儲けにしておいたけれど、彼にやったって皆な飲んでしまうから何にもなりゃしない。」と言って、薄暗い物置の中を窺いていた。
お袋は、これまでに骨折って、幼い芳太郎を育てて来ても、芳太郎の頭脳にはまだ田舎にいる母親のことが、時々憶い出されているということや、今の親父と折合いの悪いことなどを言い出して零した。お袋の口ではこの界隈で顔利きの親父が、帳場にでも坐っていてくれなければ、一日もこんな商売がして行かれないということであった。
「それでお前さえ柔順しく辛抱してくれれば、私は何でもして上げるよ。芳太郎が厭なら厭でもいいのさ。彼に身上を配けて別家さして、お前に他から養子をしたっていいんですからね。」
お庄は空罎の積みの前に立って、「え、え。」と言って聴いていたが、ぽつぽつ痘痕のような穴のあるお袋の顔が、薄気味わるく眺められた。四、五日前に、親父がどこからか、延べの指環を一つ持って来てくれた時も、同じようなことを聴かされた。