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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
七十四
」と、お庄がやっと芳太郎と手を分ったのは、それから大分経ってからであった。
お庄は大木戸から俥をやとって、荒木町の方へ急がせた。二度と帰って来るような気がしていなかった。
七十四
荒木町の家では、従姉が相変らず色沢の悪い顔をして、ランプの薄暗い茶の間に坐っていた。いつも気が浮き浮きしたということもない従姉の、髪一つ綺麗に結った姿をお庄は見たことがなかった。
「またどうかしたんですか。」と、お庄は気遣わしげに訊いた。
「いいえ。相変らずぶらぶらしているもんですからね。」と、従姉はぽきぽきしたお庄の顔を眺めた。行った時から見ると、どこかお茶屋風になっているのも目についた。
浅山は、このごろしばらく帰朝している姉婿の家へ行っていて、留守であったが、台所にいた伯母は、手を拭きながらすぐに傍へ寄って来た。
「お前もそうしていいところへ片着いて、どんなに幸福だか知れやしないわね。」と、お饒舌の伯母は独りでお庄の身の上をうらやましがった。浅山の月給が細いのに、娘が始終寝たり起きたりしているので、長いあいだ胃が持病の自分が、六十幾歳になってこうして立働きもしなければならぬという愚痴が、じきに始まった。