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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
奥は奥で、神棚の燈明がハタハタ風に揺めいて、小さい輪飾りの根松の緑に、もう新しい年の影が見えた。
お国は近所の髪結に髪を結わして、小紋の羽織など引っかけて、晴れ晴れした顔で、長火鉢の前に坐っていた。
九時過ぎに、店の方はほぼ形がついた。新吉は小僧二人に年越しのものや、蕎麦を饗応うてから、代り番こに湯と床屋にやった。店も奥もようやくひっそりとして来た。油の乏しくなった燈明がジイジイいうかすかな音を立てて、部屋にはどこか寂しい影が添わって来た。黝んだ柱や、火鉢の縁に冷たい光沢が見えた。底冷えの強い晩で、表を通る人の跫音が、硬く耳元に響く。
新吉は火鉢の前に胡坐をかいて、うつむいて何やら考え込んでいた。まだ真の来たてのお作と一所に越した去年の今夜のことなど想い出された。
「何をぼんやり考えているんです。」とお国は銚子を銅壺から引き揚げて、きまり悪そうな手容で新吉の前に差し出した。
新吉は、「何、私や勝手にやるで……。」とその銚子を受け取ろうとする。
「いいじゃありませんか。酒のお酌くらい……。」お国は新吉に注いでやると、「私もお年越しだから少し頂きましょう。