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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
期待したような何物をももっていない女の反面、どんな場合にも、そこにいくらかの虚飾と隠し立てとを取り去ることのできぬ女の性格、それに突き当る機会の多くなったのも厭であったが、やはり女をそっと眺めておけないような場合がたびたびあった。
次に引き移って行った家では、その夏子供が大患いをした。
前にいた家の近所に、お銀がふとその家を見つけて来て、そこへ多勢の手を仮りて荷物を運び込んで行ったのは、風や埃の立つ花時から、初夏の落着きのよい時候に移るころであった。手伝いに来たものの中には、去年田舎から初めて出て来たお銀の末の弟の中学生などもいた。その弟は一家の離散したころから預けられていた親類の家から、東京へ遊学させられることになっていた。
竹のまだ青々した建仁寺垣の結い繞らされた庭の隅には、松や杜松に交って、斑入りの八重の椿が落ちていて、山土のような地面に蒼苔が生えていた。木口のよい建物も、小体に落着きよく造られてあった。笹村は栂のつるつるした縁の板敷きへ出て、心持よさそうに庭を眺めなどしていた。そして額を吊ったり、本を並べているお銀や弟を手伝っていたが、書斎と勝手の近いのが、気にかかった。