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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

お作はベッタリ新吉の側へくっついて坐って、相変らずニヤニヤと笑っていた。

「サア、ここは悒鬱しくていけません。お作や、奥へお連れ申して……何はなくとも、春初めだから、お酒を一口……。」

「イヤ、そうもしていられません。」と新吉は頭を掻いた。「留守が誠に不安心でね……。」

「いいじゃありませんか。」お作は自分の実家だけに、甘えたような、浮ずったような調子で言う。

「サア、あちらへいらっしゃいよ。」

新吉は奥へ通った。お作が母親や嫂に口を利くのを聞いていると、良人の新吉のことを、主人か何かのように言っている。嫂に対してはそれが一層激しい。「あまり御酒は召し食りませんのですから。」とか、「宅は真実にせかせかした質でいらっしゃるんですから……。」とかいう風で……が、嫂の耳には格別それが異様にも響かぬらしい。「ヘエ、さいですか。」と新吉の顔ばかり見ている。新吉はこそばゆいような気がした。

しばらくすると、お作と二人きりになった。藁灰のフカフカした瀬戸物の火鉢に、炭をカンカン起して、ならんで当っていた。お作はいつの間にか、小紋の羽織に着替えていた。が東京にいた時より、顔がいくらか水々している。