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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

部屋のなかには涼しい風が通って近所は森としていた。鉄板を叩く響きや、裏町らしい子供の泣き声などが時々どこからか聞えて来た。

「よく寝ていること。随分気楽だね。」

お増は上へあがったが、坐りもせずに醜い二人の寝姿をしばらく眺めていた。

「いくら男がいいたって、私ならこんな人と一緒になぞなりゃしない。先へ寄ってどうするつもりだろう。」

お増はそんなことを考えながら、火鉢の側へ寄って、莨を喫していた。

「おや、お増さん来たの。」

お雪はそう言って、じきに目をさました。

「大変なところを見られてしまった。いつ来たのさ。」

お雪は襟を掻き合わせたり、髪を撫であげたりしながら、火鉢の前へ来て坐った。

お増はへへと笑っていた。

「この暑いのに、よく出て来たわね。」

「何だかつまらなくてしようがないから、遊びに来たのよ。」

「へえ、お前さんでもそんなことがあるの。」

お雪は火鉢の火を掻き起しながら、「あなたやあなたや。」と青柳を呼び起した。青柳はちょっと身動きをしたが、寝返りをうつと、またそのまま寝入ってしまった。

お雪が近所で誂えた氷を食べながら、二人で無駄口を利いていると、じきに三時過ぎになった。