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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

新吉は何かに唆かされるような心持で、月の冴えた広い大道をフラフラと歩いて行った。

店では二人の小僧が帳場で講釈本を読んでいた。黙って奥へ通ると、茶の室には湯の沸る音ばかりが耳に立って、その隅ッこの押入れの側で、蒲団を延べて、按摩に腰を揉ましながら、グッタリとお国が正体もなく眠っていた。後向きになった銀杏返しの首が、ダラリと枕から落ちそうになって、体が斜めに俯伏しになっていた。立ち働く時のキリリとしたお国とは思えぬくらいであった。貧相な男按摩は、薄気味の悪い白眼を剥き出して、折々灯の方を瞶めていた。

坐って鉄瓶を下す時の新吉の顔色は変っていた。煙管を二、三度、火鉢の縁に敲きつけると、疎ましそうに女の姿を見やって、スパスパと莨を喫った。するうちお国は目を覚ました。

「お帰りなさい。」と舌のだらけたような調子で声かけた。「少し御免なさいよ。あまり肩が凝ったもんですから……あなたもお疲れでしょう。後で揉んでおもらいなすってはどうです。」

新吉は何とも言わなかった。

しばらくすると、お国は懈そうに、うつむいたまま顔を半分こっちへ向けた。

「どうでした、お作さんは……。