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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

鬼のいない間にと思って。」

お増は淋しく笑った。そして脱棄てや着替えを畳みつけて、奥へしまい込もうとするお今に、「それはそうやっておいて頂戴。一遍干すから。」と声かけた。

湯の熱の体にさめないようなお増は、茶漬で晩飯をすますと、まだ汽車に揺られているような体を、少し座蒲団のうえに横になって、そこにあった留守中の小使い帳や、書附けなどを眺めていた。

「誰も来なかったの。」

「ええどなたも。」とお今は箸を休めて、考えるような目色をして、「そうそう、根岸のあの神さんが二度ばかり来てよ。何だかあすこに事件が持ち上ったようなんですよ。」

「へえ、そう。」と、お増は顔をあげたが、お今は赤い顔をして、笑ってばかりいて、後を話さなかった。

「おかしな子だよ、お前さんは。」

お増はじれったそうに呟いた。

「姉さん、男って皆なそんなものでしょうか。」

お今は真面目な顔をこっちへ向けたが、じきに横を向いて噴笑してしまった。

「何がさ。」

「だっておかしいんですもの。」お今は、また顔に袖を当てて笑いだした。

「いやだね。この子は、色気がついたんだよ。」お増は眉をしかめた。

「嘘よ。」

「旦那に、何か揶揄われたんだろ。