輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

三十一

阿母さんもそう言うんですわ。小石川の叔母さんだけは、それならばなおのこと、速く癒って帰らなければいけないと言うんですけれど……。」

新吉は、二人の間が、もうそういう危機に迫っているのかと、胸がはらはらするようであった。

「どちらにしても、お前が速く癒ってくれなければ……。」と気休めを言っていたが、そうテキパキ事情の決まるのが、何だかいやなような気がした。

新吉と別れてから、十日目にお作は嫂に連れられて、表町へ帰って来た。ちょうどそれが朝の十時ごろで、三月と言っても、まだ余寒のきびしい、七、八日ごろのことであった。腕車が町の入口へ入って来ると、お作は何とはなし気が詰るような思いであった。町の様子は出て行った時そのままで、寂れた床屋の前を通る時には、そこの肥った禿頭の親方が、細い目を瞠って、自分の姿を物珍らしそうに眺めた。蕎麦屋も荒物屋も、向うの塩煎餅屋の店頭に孫を膝に載せて坐っている耳の遠い爺さんの姿も、何となくなつかしかった。

腕車を降りると、お作はちょいと嫂を振り顧って躊躇した。

「姉さん……。」と顔を赧らめて、嫂から先へ入らせた。

三十一

店には増蔵が一人いるきりで、新吉の姿が見えなかった。