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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
女はお庄のまだ知らないお庄の家のことすら知っていた。田舎の縁類の人の噂も出た。お庄はどこか父親に肖ているとか、ここが母親に肖ているとか言って、顔をじろじろ見られるのが、むず痒いようであった。
「庄ちゃん小母さんとこの子になっておくれな、小母さんが大事にしてそこら面白いところを見せてあげたりなんかするからね。」と言ったが、お庄には、黙っている父親にも、その心持があるように思えた。
女はそこらを捜して銀貨を二つばかりくれると、「お庄ちゃん、公園知っていて。観音さまへ行ったことがあるの。賑やかだよ。」と言って訊いた。
「知ってるとも、すぐそこだ。」父親は長い顎を突き出した。
「独りじゃどうだかね。」
「何、行けるとも。それは豪いもんだ。」
お庄は銀貨を帯の間へ挟んで、家だけは威勢よく駈け出したが、あまり気が進まなかった。一、二度来たことのある釣堀や射的の前を通って、それからのろのろと池の畔の方へ出て見たが、人込みや楽隊の響きに怯けて、どこへ行って何を見ようという気もしなかった。
お庄は活人形の並んだ見世物小屋の前にたたずんで、その目や眉の動くさまを、不思議そうに見ていたが、うるさく客を呼んでいる木戸番の男の悪ごすいような目や、別の人間かと思われるような奇妙な声が気になって、長く見ていられなかった。