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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
を伝わって来た。するうちに、澱んだような碧い水の周りに映る灯の影が見え出して、木立ちのなかには夕暮れの色が漂った。
女は、帰って来たお庄の顔を見ると、
「この人はどうしたって家に昵まないんだよ。」と言って笑った。店にはこのごろ出来た、女の新しい亭主も坐って新聞を見ていた。亭主は女よりは七、八つも年が下で、どこか薄ンのろのような様子をしていた。この男は、いつどこから来たともなく、ここの店頭に坐って、亭主ともつかず傭い人ともつかず、商いの手伝いなどすることになった。お庄は長いその顔がいつも弛んだようで、口の利き方にも締りのないこの男が傍にいると、肉がむず痒くなるほど厭であった。男はお庄ちゃんお庄ちゃんと言って、なめつくような優しい声で狎れ狎れしく呼びかけた。
男は晩方になると近所の洗湯へ入って額や鼻頭を光らせて帰って来たが、夜は寄席入りをしたり、公園の矢場へ入って、楊弓を引いたりした。夜遊びに耽った朝はいつまでも寝ていて、内儀さんにぶつぶつ小言を言われたが、夫婦で寝坊をしていることもめずらしくなかった。
お庄は寝かされている狭い二階から起きて出て来ると、時々独りで台所の戸を開け、水を汲んで来て、釜の下に火を焚きつけた。