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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

母親は、この界隈の内儀さんたちの着ているような袖無しなどを着込んで、裏で子供の着物を洗っていた。目の色が曇んで、顔も手もかさかさしているのが、目立って見えた。

母親は傍へ寄って行くお庄の顔をしげしげと見た。頬や手足の丸々して来たのが、好ましいようであった。

「湯島じゃ皆な変りはないかえ。」

お庄は台所の柱のところに凭れて、頭髪を撫でたり、帯を気にしたりしながら、母親の働く手元を眺めていたが、やがて奥へ引っ込んで、店口へ出て見たり、茶の間のなかを歩いて見たりした。部屋には、東京で世帯を持った時、父親が小マメに買い集めた道具などがきちんと片着いて、父親が蒲団の端から大きい足を踏み出しながら、安火に寝ていた。父親は何もすることなしに、毎日毎日こうしてだらけたような生活に浸っていた。皮膚に斑点の出た大きい顔が、脹んでいるようにも思えた。

お庄は家が淋しくなると、賑やかな大通りの方へ出て行った。羽衣町に薬屋を出している叔父の家へも遊びに行った。

叔母はその父親が、長いあいだある仏蘭西人のコックをして貯えた財産で有福に暮していた。その外人のことを、お庄はよく叔母から聞かされたが、屋敷へ連れられて行ったこともあった。