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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

お庄は子を膝に抱いて俥に乗った。

寺で法師がお経を読んでいる間も、一回はにやけた風をさせたその子供の仕草で始終笑わされ通しであった。お庄も母親もどこかに叔母の遺して行った物を体につけていた。お庄は小紋の紋附に、帯を締めて、指環で目立つ大きい手を気にしながら、塔婆を持って衆と一緒に墓場の方へ行った。

「そんなに塗くってどうするつもりだ。まるで粉桶から飛び出したようだ。」と、出がけに叔父はお庄の顔を見て笑ったが、お庄は欲にかかってやっぱり塗り立てて出た。

帰りに衆は上野をぶらぶらした。池には蓮がすっかり枯れて、舟で泥深い根を掘り返している男などがあった。森もやや黄ばみかけて、日射が目眩しいくらいであった。学生風の通訳の細君が、そこから一ト足先に別れて行ってから、一同は広小路の方へ出て、それから梅月で昼飯を食べた。大阪生れの丸山の内儀さんは、お庄にそう言って酒を一銚子誂えて、天麩羅に箸をつけながら、猪口のやり取りをした。

斑点の多い母親の目縁が、少し黝赭くなって来た時分に、お庄の顔もほんのりと染まって来た。色の浅黒い、痩せぎすな向うの内儀さんは、膝に拡げた手拭の上で、飯を食べはじめた。