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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
そしてお庄の見ている傍で急に思い着いて手紙を書きはじめた。
「厭な人ね。」と、お庄は机の端に両肱をついて目をっていたが、いきなり手を伸ばして巻紙を引っ褫った。
「何大丈夫だよ。どうしているかちょっと訊いて見るだけだ。」磯野はお庄を宥めておいてまた手紙を書きはじめる。
半分ほど書くと、お庄はまたべったり墨を塗った。
女は手紙で呼び出されて、それから三度ばかり遊びに来た。二度目には自家で拵えた紙入れなどをお庄へ土産に持って来てくれて、二階で二、三時間ばかり遊んで帰って行った。女の父親は袋物の職人で、家は新右衛門町の裏店にあった。磯野の郷里の町へ旅芸者に出ていた時分からの馴染みで、土地でしばらく一緒に暮したこともある。女は亡くなった磯野の父親の気に入りで、町でも評判のよい素人くさい芸者であった。
磯野はその女を一、二度引っ張りまわすと、またふっつりと忘れてしまった。
亡くなった叔母の弟が田舎へ帰省するときお庄はその男と約束しておいて、自分で路費を少しばかり拵えて、叔父にも母親にも秘して、磯野の田舎へ遊びに行った。叔父は海辺から帰って、また家にぶらぶらしていた。