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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

」と大げさな声を立てて突っ立っていた。母親が戸締りをしてからそこへ寄って来た。

「外で気に喰わないことがあって、家でそうぷりぷりするものじゃないよ。手がどうかなたかえ。舐めてやろうかい。」と笑った。

「阿母さんに舐めてもらったってしようがないわ。」と、お庄は呟きながら、やっぱり突っ立っていた。胸がむしゃむしゃして、そのまま床に就く気もしなかった。

臥てからも、お庄は始終外を通る人の跫音に気をいらいらさせた。

翌朝床を離れて手洗をすますと、お庄は急いで、お増の宿まで行って見たが、切り戸はまだ締っていた。隙間から覗くと、靴脱ぎの上にあった下駄も取り込んだらしく、板戸もぴったり締って、日当りの悪い庭の、立枯れの鉢植えの菊などが目についた。差配の方の格子戸もまだ開かなかった。お庄はしばらくそこを彷徨していた。

昼少し前に、お庄が台所で飯の支度をしているところへ、磯野はぶらりとやって来た。そして奥で叔父や母親に調子を合わせて、何やら話し込んでいた。お庄はその顔を一目見たきりで口を利くことも出来なかった。

飯の支度の出来た時分に、磯野は母親の止めるのも聞かずに、そわそわした風で帰って行った。