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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
」と言って、淋しく笑っている芳村の顔では、女がまた自分の懐に復って来る時が、きっとあるものと信じているらしかった。
「どうせ一人を守っちゃいられない女なんだからね。」友達が言った。
「そうなんでしょうね。あの人は私の聞いているだけでも、随分いろいろの人を知っていましたからね。」と、お庄も芳村の心をもどかしく思った。
二階に寝ていた叔父が起きて来てから、芳村は昨夜托けておいた鞄を提げ出して、やがて友達と一緒に帰って行った。叔父は淋しい朝飯の膳に向いながら、母子がしている磯野らの噂に耳を傾げていた。
「お庄も、築地にいる時分にどこかへ片着けておくだったい。」と、母親はお庄の厭がる弟の給仕をしながら、以前のことを思い出していた。運の向きかけて来てから、まだまだ前途があるように言っていた弟が、こんなにばたばたと息ついて来ようとは思わなかった。
お庄はすることが手に着かなかった。縫直しに取りかかろうとしていた春着の襦袢なども、染物屋から色揚げが届いたばかりで、この四、五日のどさくさ紛れに、まだ押入れへ突っ込んだままであった。ひとしきり自分の体に着くものと決まっていた数ある衣類も、叔父に言われて、世帯の足しに大方余所へ持ち出してしまった。