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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

芳太郎は荒い息をしながら、縁に腰かけて黙って莨を喫していたが、するうちに手拭や石鹸を持ち出して湯に行った。

お庄や細君――女連は土台の腐れた古い湯殿で毎日行水を使うことになっていた。

麹町の方の会社へ出るようになってから、芳太郎はこれまでのように朝寝をしていることも出来なかった。

店の忙しいとき、芳太郎は夜おそく帰るような日が二、三日続いた。

お庄は押入れの行李のなかに残っていたものを、萌黄に唐草模様の四布風呂敷に包んで、近所からやとって来た俥に積み、自分もそれに乗って、晩方中村の邸を出た。

大雨がざあざあ降っていて、外は真暗であった。中村はちょうど留守であったし、広い茶の室で晩飯の餉台に就いている細君も老人もそんな荷を持ち出したことに気がつかなかった。荷の中には、鏡台のような稜張った物もくるまれてあった。お庄は自分の部屋の縁側から、ばしばし雨滴れのおちる廂際に沿いて、庭の木戸から門までそれを持ち出さなければならなかった。夜具などは後でどうでもなると思ったが、少しばかりの軟かい着替えや手廻りの物を、芳太郎の目の前に遺しておくのは不安心であった。