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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
お銀が来るようになってから、一々自身で台所へ出て肴の選択をする必要もなくなったし、三度三度のお菜も材料が豊かになった。これまでに味わったことのない新漬けや、かなり複雑な味の煮物などがいつも餉台のうえに絶えなかった。長いあいだ情味に渇いた生活を続けて来た笹村には、それがその日その日の色彩でもあった。
「それでは娘はお預けして行きますで……。」と、婆さんは無口で陰気な笹村なら、安心して娘をおいて行けるといった口吻であった。
家はじきに甥とお銀と三人の暮しになった。お銀は用がすむと、晩方からおりおり湯島の親類の方へ遊びに行った。そして夜更けて帰ることもあった。笹村が、書斎で本など読んでいると、甥と二人で、茶の間で夏蜜柑など剥いていることもあった。
「真実に新ちゃんはいい男ですね。」お銀は甥の留守の時笹村に話しかけた。甥は笹村の異腹の姉の子であった。
「叔父甥と言っても、ちっともお話なんぞなさいませんね。見ていてもあっけないようですね。その癖新ちゃんは、私にはいろいろのことを話します。来るとき汽車のなかで綺麗な女学生が、菓子や夏蜜柑を買ってくれたなんて……。」