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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

そして遠慮なく膝を崩すような客に対する時の調子も、笹村が気遣ったほどには粗雑でもなかった。

笹村が一週間ばかり、いろいろ紛糾っている家庭の不快さを紛らしに、ふいと少しばかりのマネーを懐にして、海辺へ出て行った留守のまに、子供の帽子などを懐にして、宅を見舞ってくれる人などもあった。その男は、上り框に腰かけてしばらく話し込んで行った。

「ぜひ遊びにいらっしゃい。笹村君が何か言えば、私がうまく言っておきますから……。」と、気軽にそんな愛想を言って行ったことなどを、お銀は後で笹村に話した。

「あの方なぞのお宅もさぞ立派でしょうね。――どんな風だか、後学のためによその家も私見ておきたい。」

お銀は笹村の説明を聞いて、何にもない自分の家の部屋を気にしだした。

海辺へ出て行くときの笹村の頭はくさくさしていた。じめじめした秋の雨が長く続いて、崖際の茶の室や、玄関わきの長四畳のべとべとする畳触りが、いかにも辛気くさかった。そんな雨を潜りながら赤子を負って裏木戸から崖下の総井戸へ水を汲みに出て行った母親が、坂のところで躓いて転んで、前歯が二本ぶらぶらになってから、ここの家の住みにくいことが、また母子の口から繰り返されなどした。