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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
綱引きの腕車で出て行く、フロック姿の浅井を、玄関に送り出したお増は、屠蘇の酔いにほんのり顔をあからめて、恭しくそこに坐っていた。
家のなかが、急にひっそりして来た。羽子の音などが、もうそこにもここにも聞えた。自分は自分だけで年始に行くときの晴れ着の襦袢の襟などをつけているうちに、もう昼になって、元日の気分がどことなくだらけて来た。
二十二
長火鉢の側の柱にかかった日暦の頁に遊びごとや来客などの多い正月一ト月が、幻のように剥がれて行った。
お増は春になってから一度、二人打ち揃うて訪ねてくれた根岸の隠居の家へ浅井と一緒に出かけて行ったり、その連中と芝居を見に行ったりした。いつか浅井の骨折りで、それを抵当に一万円ばかりの金を借りたりなどした別荘に、隠居はお芳という妾と一緒に住んでいた。そして方々に散らかっている問屋時代の貸しなどを取り立てて月々の暮しを立てていたが、贅沢をし慣れて来た老人は、やはりそれだけでは足りなかった。時々古い軸が持ち出されたり、骨董品が売り払われたりした。色白の肉づきのぼちゃぼちゃした、目元などに愛嬌のあるお芳は、上がもう中学へ通っているこの子供たちと一緒に、劇しいヒステレーで気が変になって東京在の田舎の実家へ引っ込んでいる隠居の添合いが、家政を切り廻している時分には、まだ相模