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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

」

お芳は莨をつけて、お増に渡しながら言った。

「この人でもいてくれなかったら、てんで商売は出来やしません。」

お芳は傍に夫婦の買物を包んでいる、清吉の方を見ながら言った。切れ長な大きいその目が、みずみずした潤沢をもっていた。

「お芳さんも、まだ三十にならないんですからね。」

お増はそこを出たとき、浅井に話しかけた。

四十四

ふとした感冒から、かなり手重い肺炎を惹き起した静子が、同じ区内のある小児科の病院へ入れられてから、お増はほとんど毎日そこに詰めきっていなければならなかった。

会社へ出ていても、静子の病気の始終心にかかっている浅井は、ろくろく仕事も手につかぬほど気分に落着きがなかった。少し緩んで来た寒気が、また後戻りをして春らしい軟かみと生気とを齎して来た桜の枝が、とげとげしい余寒の風に戦くような日が、幾日も続いた。病室のなかには、かけ詰めにかけておく吸入器から噴き出される霧が、白い天井や曇った硝子窓に棚引いて、毛布や蒲団が、いつもじめじめしていた。

途中で翫具などを買って来ることを怠らない浅井は、半日の余も、高い熱のために、うとうとと昏睡状態に陥っている病人の番をしながら、病室に寝たり起きたりしているようなことが多かったが、静子はぜいぜい苦しい呼吸遣いをしながら、顔や髪に、細かい水滴の垂れて来る