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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
頭脳がガンガン鳴って、心臓の鼓動も激しかった。が、胸の底には、冷たいある物が流れていた。
「新さん、じゃ私これでおつもりよ。」とお国は猪口を干して渡した。
お作が黙ってお酌をした。
「お作さんにも、大変お世話になりましたね。」とお国は言い出した。
「いいえ。」とお作はオドついたような調子で言う。
「あちらへ行ったら、ちっとお遊びにいらして下さい……と言いたいんですけれどね、実は私は姿を見られるのもきまりが悪いくらいのところへ行くんですの。これッきり、もうどなたにもお目にかからないつもりですからね。」
お作はその顔を見あげた。
酔漢はもう出たと見えて、店が森としていた。生温いような風が吹く晩で、じっとしていると、澄みきった耳の底へ、遠くで打っている警鐘の音が聞えるような気がする。かと思うと、それが裏長屋の話し声で消されてしまう。
「ア、酔った!」とお国は燃えている腹の底から出るような息を吐いて、「じゃ新さん、これで綺麗にお別れにしましょう。酔った勢いでもって……。」と帯の折れていたところを、キュと仕扱いてポンと敲いた。
「じゃ、今夜立つかね。」新吉は女の目を瞶めて、「私送ってもいいんだが……。