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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,861 characters · 480 screens
拙者の考えでは、ことによると、先方のほうが役者が一枚上ではないかと……」
「うるさい。会うのはやめいと申すのか」
「いえ、おとめはいたしませんが、いかなる策略があろうも知れませぬ故、充分ともにお気をおつけなされて……」
「女に会うに、刀はいるめえ」
つぶやいた源三郎は、玄心斎の手を静かに振り払って、懐手のまま、ずいと部屋を出て行った。
つぎの間から廊下へかけて、無礼講に立ちさわいでいた柳生の門弟達が、にわかにひっそりとなるなかを、供もつれずに廊下を立ち出た源三郎は、
「どこに?」
「はい、あちらのお廊下の角に――」
と、とりついだ門之丞の眼くばせ。
むっとした顔で、大股にあるいてきた源三郎を、お蓮様は、眉の剃りあとの青い顔を、ニッコリほほえませて迎えました。
「まあ、あれっきり、まだ御挨拶にも出ませんで」
そう愛想よく言いながら、お蓮様は先に立って、その表屋敷へ通ずる長廊下を、ぶらりと歩き出す。
ところどころに雪洞の置いてある、うすぐらい廊下……源三郎には、ふとそれが、夢へ通ずる道のように思われたのです。
「いや、当方こそ――父上の御葬儀の節には、いろいろと御心配に預かり、かたじけのうござった」