Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,861 characters · 480 screens
二
「身支度せい」
と、ことばすくなに部下へ言っておいて、主水正へ、
「シテ、壺はいずこに?――」
薬がききすぎたので、主水正はあわてて、
「いや、その所在がわかったわけではないが、いよいよ一刻も早く、わからんと困ることにあいなったのじゃ。諸君も御承知のとおり、日光造営の日は、時の刻みとともに近づく一方……のみならず、このこけ猿の件は、諸藩のあいだに知らぬ者もなきほど……」
二
「諸藩の間に、誰知らぬ者もなきほど有名になっている。で、先般来、造営奉行の下役なるお畳奉行と、お作事目付にありつきたいと言って――」
田丸主水正、道場のはしに立って、寝間着の一群へ向かって演説をはじめた。
皆ゴソゴソ起きあがって、ねぼけた顔をならべている。
「ヘン、日光組下にありつきたいんじゃアなく、なんとでもしてのがれたいの一心でござろう」
誰かが弥次を飛ばした。
「ウム、言ってみれば、マア、そのとおり……で、各大名の使いが数日来、当屋敷につめかけたことは、諸君も知ってであろう。そいつらが、異口同音にこけ猿のことをきくので、拙者もつらくなってな。そこで一策を案じ、こけ猿によく似た駄壺をさがしだして、耳を一つ欠き、にせ猿の茶壺ということにして飾っておいたのじゃ。