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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,861 characters · 480 screens
秘伝銀杏返し
一
気性が荒々しいうえに、素行のうえでも、いろいろよからぬ評判を耳にしているので、萩乃は、源三郎がじぶんの夫として乗りこんでくることを思うと、ゾッとするのだった。
山猿が一匹、伊賀からやってくると思えばいい。自分はそのいけにえになるのか……と、萩乃が身ぶるいをしたとたん。
「おひとりで、辛気くそうござんしょう、お嬢さま」
と、庭さきに声がした。
見ると、紺の香のにおう法被の腰に、棕梠縄を帯にむすんで、それへ鋏をさした若いいなせな植木屋である。
父が死ねば、この広い庭に門弟全部があつまって、遺骸に別れを告げることになっているので、もはや助からないと見越して、庭の手入れに四、五日前から、一団の植木屋がはいっている。そのうちの一人なのだが、この若い男は、妙に萩乃に注意を払って、なにかと用をこしらえては、しじゅうこの部屋のまえを通りかかるので――。
秘伝銀杏返し
一
どうしてこんな奥庭まで、まぎれこんできたのだろう……と、萩乃が、見向きもせずに、眉をひそめているうちに。
その若い植木屋は、かぶっていた手ぬぐいをとって、半纏の裾をはらいながら、かってに、その萩乃の部屋の縁側に腰かけて、