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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,861 characters · 480 screens
七
「それはそれは、結構でございましたなあ。ヘエエ! あれが有名なるこけ猿。なんともお見事なる品で――もうこれで、お家万代でござりまするな。いや、おめでとうございます」
そこへ、また取次ぎの者があらわれて、
「エエ御家老様、堀口但馬守様からお使いの方がおみえになりまして……」
「ウム、こちらへ」
「では、拙者はこれにてごめんを」
飛騨守の家来、あわてて帰っていく玄関への廊下で、入れちがいにはいってきた堀口但馬の臣と、擦れちがい、
「イヤどうも」
「イヤどうも」
双方でバツのわるい挨拶。
飛騨守の使い、相手の手にある進物の包みを、ちらと横眼に見て、ナニ、おれのほうがだいぶ大きい、この分だとのがれられるワイと、安心して出てゆく。
座になおった堀口但馬守お使者は、
「このたびは名誉ある日光御造営奉行におあたりになりましたる段、実もって祝着至極」から始めて、これが戦国の世ならば――主人堀口但馬は神仏に祈願――水ごり――せめてはお畳奉行かお作事目付に……。
「これはホンの名刺がわり」
と何やらお三方に乗せた物を押しすすめて、
「さて、チョッと伺いますが、あれはこけ猿――?」
「御家老様へ申しあげます。