Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,861 characters · 480 screens
四
一太刀受けたら最後、あっというまに三まいにおろされちまう……と思うから、この時の与吉の駈けっぷりは、早かった。
まるで踵に火がついたよう――背後からは、与吉待てえ、与吉待てえと、ガヤガヤ声をかけて追ってくるが、こいつばかりは、へえといって待つわけにはいかない。
ぐるっと角をまがって、佐竹様のおもて御門から、木戸をあけて飛びこんだ。御門番がおどろいて、
「おい、コラコラ、なんじゃ貴様は」
あっけにとられているうちに、
「へえ、ごらんのとおり人間で――人ひとり助けると思召して」
と与吉、たちさわぐ佐竹様の御家来に掌を合わせて拝みながら、御番衆が妙なやつだナと思っているうちに、ぬけぬけとしたやつで、すたすた御邸内を通りぬけて、ヒョックリさっきの横町へ出てまいりました。
「ざまア見やがれ。ヘッ、うまく晦いてやったぞ」
ところが、与吉、二度びっくり――ところてんのチョビ安が、こけ猿の茶壺とともに、影もかたちもないんで。
四
ところ天の荷は、置きっ放しになっている。
あわてた与吉が、ふと向うを見ると、こけ猿の包みを抱えたチョビ安が、尻切れ草履の裏を背中に見せて、雲をかすみととんでゆくのだ。