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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,861 characters · 480 screens

Aozora Bunko

「わっはっはっは――」

と、まず、笑いとばした泰軒は、

「めざしが四匹、年寄りと娘を相手に、えらく威張っておるな」

尻切れ草履をぬぎ捨てて、埃だらけの足のまま、あがりこんできました。

あっけにとられたのは四人で、思わずお美夜ちゃんを畳へおろし、

「なんだ、貴様は!」

「人に名を聞くなら、自ら先に名乗ってから、きくものだ」

「貴様ごときに、名乗る名は持たぬ」

事面倒になりそうなので、そうお茶をにごした四人が、長居は無用と、こそこそと出て行こうとする後ろから、また、われっかえるような泰軒の笑い声がひびいて、

「名乗らんでも、おれにはちゃんとわかっているぞ。道場へ帰ったら、丹波にそう言え。長屋にあります箱は、偽物でした、とナ」

「道場? どこの道場?」

「丹波とは、何者のことか」

と、そう四人は、口ぐちにしらをきったが、本郷の道場の者と見破られた以上、このうえどじを踏まないようにと、連れ立って足ばやに、路地を出ながら、

「おどろいたな。あの仁王のようなやつが、おれたちが司馬道場の者と知っているとは――」

「あいつは、そもそも何者であろう」

「虚々実々、いずれをまことと白真弓……か、うまく一ぱいくわされたぞ」