Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,861 characters · 480 screens

Aozora Bunko

立ちあがった左膳、貝の口にむすんだ帯をグッと押しさげ、豪刀濡れ燕を片手でブチこみながら、

「お藤ッ!」

「あいヨ」

われ関せず焉と水口の土間で、かまどの下を吹きつけていたお藤が、気のない声で答える。

プウッと火吹き竹をふいているお藤姐御、ほおをまるくしているのは、心中はなはだおもしろくないから、海豚提灯のようなふくれっつらにもなろうというもの。

「オヤ、火が消えてから火事場へお出ましかえ。火もとあらためのお役人衆みたようで、フン、乙う構えたものさネ」

と、申しました。

十一

「おいっ!」

左膳は、お藤のつぶやきを無視して、チョビ安へ、

「本郷の道場へ手紙を持って行けといったが、取消しだっ」

「え? 文の使いはもういいのですかい、父上」

「うむ。源三郎が死んだとありゃア、おれアスッパリと萩乃を思いきる。源三が生きていてこそ鞘当てだ。死んだやつの後釜をねらうのは、俺にはできねえ」

なんのことだかわからないから、チョビ安もお藤も、ポカンとしている。

だが、チョビ安は、わからないくせに、もったいらしく小さな腕を組んで、

「ウム、死人のあとは、ねらえねえ……それでこそ父上だ。