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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,861 characters · 480 screens
今ごろは、吠え面かいて探してるだろうが、ざまア見やがれ――。
いい若い者が、何か四角い包みを抱えて、ニヤニヤ思い出し笑いをしながら行くから変じァないかと、道行く人がみんな気味わるそうに、よけて行く。
しかし、こんな騒ぎをして、わざわざこんなものを盗みださせる妻恋坂のお蓮さんも、峰丹波様も、すこし酔狂がすぎやアしねえか――。
「萩乃どのの婿として乗りこんでくる源三郎様には、すこしも用がない」
と、この命令を授ける時、峰の殿様がおっしゃったっけ……。
「彼奴は、あくまでも阻止せねばならぬ。が、その婿引出に持ってまいるこけ猿の茶壺には、当方において大いに用があるのだ」
そして、丹波、抜からず茶壺を持ち出せと、すごい顔つきで厳命をくだしたものだが、してみると――。
してみると……この茶壺の中は、空じゃアないかも知れない。
そう思うと、なんだかただの茶壺にしては、重いような気がして来た。
与吉は、矢も楯もなく、今ここで箱をあけて、壺のなかを吟味したくてたまらなくなりました。
好奇心は、猫を殺す――必ずともに壺のふたを取るでないぞ! 中をあらためてはならぬぞ! こういう峰丹波の固い命令だったので、それで与吉、今まであの高麗屋敷の櫛まきお藤の家で、この茶壺と寝起きしていた何日かのあいだも、見たいこころをジッとおさえて、我慢