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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,861 characters · 480 screens

Aozora Bunko

お前は見事、それにかかったわけだが、丹波のやったこの仕事を、おれの相手の伊賀侍が知るはずはねえのだから、おれはかってにおちたようなもので――しかし、驚いた。だが、おかげてこうして、死んだと思った伊賀の暴れん坊にめぐりあったのは、左膳、こんな安心したことはねえ。これも、今おれの手にはいっている、こけ猿の茶壺の手引きにちげえねえのだ」

悠然と笑う左膳の片手を、源三郎、喜びと驚きにギュッと握りしめて、

「ナニ、こけ猿はいま貴公の手にある?」

「ウム、開きかけた壺をそのままに、貴様の災難を聞いたので、飛んできたまではいいが、おれもそのお供をしてこの始末よ、あははははは」

二人は、フッと話をきった。

どこやら闇のなかに、ポタリ! ポタリと、水のしたたる音がする……。

二

たとえば、豪雨がやんで、雲の切れめから青空がのぞくころ。

屋根の流れを集めた樋が、まだ乾きもやらず、大粒な雨垂れをたたくように地面へ落とす。

それによく似たひびきである。

ポタッ! ポタッ! と、一定の間をおいて、だるい水の音がせまい部屋にこもる。

天井のどこかから水が落ちて、床の土をうつのらしい。