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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,861 characters · 480 screens

Aozora Bunko

今宵ここで源三郎の手にかかって命を落とすのかと、すでにその覚悟はできているはず。

死ぬのが怖くて顫えているのではない。

きょうまで自分が鍛えに鍛えてきた不知火流も、伊賀の柳生流には刃が立たないのかと、つまり、名人のみが知る業のうえの恐怖なので。

「どうせ、あとで知れる。お蓮さまや萩乃様をはじめ、道場の若い者には、何もいうなよ。ひとりでも、無益な命を落とすことはない」

と丹波が、ひとりごとのように、与吉に命じた。

ずっと奥の先生の病間のほうから、かすかに灯りが洩れているだけで、暗い屋敷のなかは、海底のように静まりかえっている。

「だが、峰の殿様、どうして植木屋になぞ化けて、はいりこんだんでげしょう。根岸の植留の親方を、抱きこんだんでしょうか」

丹波は、答えない。無言で、大刀に反りを打たせて、空気の湿った夜の庭へ、下り立った。

雲のどこかに月があるとみえて、ほのかに明るい。樹の影が、魔物のように、黒かった。

丹波のあとから、与吉がそっとさっきの裏木戸のところへ来てみると!

まさか待っていまいと思った柳生源三郎が、ムッツリ石に腰かけている。

丹波の姿を見ると、独特の含み笑いをして、