Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんらん

親鸞

吉川 英治

Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens

Aozora Bunko

八

浄憲の眼は、しきりと、廻廊や南苑の人影へうごく。

人が来ないとみると、小声で、早口にことばをついで、

「どうじゃ、何とみらるる、平家の暴状、癪ではおざらぬか、忌々しゅうは思われぬか、小松重盛を左大将に、これは、まあ我慢もなるとして、その次男坊の宗盛――木偶に冠じゃ――猿に履じゃ。それを、一躍、徳大寺や花山院の諸卿をとび超えて、右大将に任ずるとは、なんと、阿呆らしい――」白馬が、遠くでいなないた。浄憲は、眸の小さい眼で、ぎらりと、あたりを見た。

「――この手で、まだまだ、勝手気ままに、清盛入道は、叙位除目を私するじゃろう。おそれ多いが、お上も、あるやなしの振舞、いわんや、吾々輩をや」

「……ちと、今日は館に、約束の客を待たしてもあれば」

「まあ」と、浄憲は、範綱の袖をとらえて、

「それと、これとは、事の大きさが違いましょう。貴所も、院の御信任あさからぬ臣下の御一名ではないか」

「こういう所では」

「いや、改まった場所では、すぐ、平氏の者がうるさい。……ではご一言、伺っておこう。新大納言のお考えに、そこもとは、ご加担か、お断りの肚かを」

「今は、申しかねる」

「二心おもちか」