Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんらん

親鸞

吉川 英治

Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens

Aozora Bunko

二

いつまで、わしの側にいては、その尊い苦しみをなめることができぬ、わしに、少しでも、いたわりが出てはおもとのためにならぬ。――師を離れて、真の師に就け。真の師とは、いうまでもなく、仏陀でおわす。――ちょうど東塔の無動寺に人がない。枇杷大納言どののおられた由緒ある寺。そこへ、今日からおもとを、住持として遣わすことにする。よろしいか、支度をいたして、明日からは、そこに住んで、ひとりで修行するのですぞ」

二

範宴は、うなずきながら、ほろりと涙をこぼした。小さい手で、その眼を横にこすっているのを見て、慈円は笑った。

「明日から、一ヵ寺の住職ともなる者が、涙などこぼしてはいけない。……元気で行きなさい」

「はい」衣の袖で、涙を拭いてしまうと、範宴は、別れ難ない眸をあげて、師の顔を仰いだ。

「では、行ってまいります。お師さまの教えを忘れないで、励みまする」礼をして、立って行くのである。その姿を廊下の方で待ちうけていたのは、さっきから板縁に坐って、案じ顔に控えていた性善坊であった。

すぐ手を取って、堂の階を降りてゆく。そして、房の方へ歩いてゆくうちに、性善坊が明るい顔で、何か訊ねているし、範宴も、今泣いたことなど忘れて、々として、彼の手をつかんで振ったり、その肩へ、ぶら下がったりして、戯れながら行くのだった。