Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
河和田の平次
一
「人の力は偉いものだのう……いや仏のお力だ。――ついきのうまで、ここが五位鷺の巣であった古沼とは、もう思うてみても、考えられぬ」大内国時はつぶやいた。
普請場の新しい大地に床几をすえ、側にいる建立奉行の藤木権之助忠安へ話しかけたのである。
国時は、当国の下野城の城主だった。いつか親鸞の徳に帰依して、そこへ参室していたが、稲田の上人の庵室は、あまりに手狭くもあり、裏方や子たちの生活にも不便が多いので、自分の領地の宮村へ、上人を迎えたほどの彼であった。
けれど大内国時は、それではまだ満足しなかった。近国はおろか、陸奥にまで、すでに上人の徳はあまねく行きわたっているし、念仏宗に対する人々の信仰は、日に月に旺になってきている。そして、その敬礼の中心を求めてやまない勢いにもなっていた。
国時はそこで、自分の手によって、東国念仏門第一の伽藍の建立を発願したのである。――もちろん、親鸞もそれをゆるすところとなって。
「権之助」
「は」
「この分では、案外、棟上げもまたたくうちだの。すくなくも、竣工には二、三年はかかろうというていたが」
「御意にございます」
「そちの精励じゃ」