Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
二
それとも、異論あらば、論議するか。人のうわさも七十五日と、隠れていても、事は済まぬぞ」
二
ぞんぶんな悪態をついて、
「馬鹿門跡っ」
「欺瞞者」そして天狗のように、
「わはははは」そこらへ、唾を吐きちらして、帰ってゆくのだった。
やっと一群れ帰ったと思うと、また、次の一群れが来る。
同じように罵詈か、強請か、論議売りであった。
夜になると、聖光院の大屋根へ、ばらばらと石が降った、塀の外を大声で、
夜ごと夜ごとの
恋猫は
人目の築地越えて
煩悩の辻こえて
月輪へ
しのぶとよ
朝な朝なの
恋猫は
諸人の鞭に追われ
御仏の裳にかがまり
昼もなお
しのぶとよ
破れ扇で手拍子を打ちつつ、聞えよがしに歌って通る者があったりする。
朝、門を開ける者は、必ずそこら一面に落ちている瓦だの、牛の草鞋などを見た。ある朝は、大きな墓石が投げこまれてあったりした。
――仏誅必ず汝に下らん。
などと書いた投げ文は毎日のことである。しかし範宴その人の生活は、ここへ移ってからも依然として変らない、思索の寂室に、いつもひっそりと住んでいるのだった。
青蓮院の慈円僧正と、そのほかへ四、五度の消息をつかわしたり、慈円からも幾回となく書状の来た形跡はあるが、外へは、一歩も出なかった。