Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
六
「……太夫房覚明という者が労仕の衆の中におるそうじゃの」
「はい、見えております」
「おん身を慕って、この禅房に、置いてくれという頼みを、蓮生からすがってきた。なんといたそう」
「成らぬことに存じます」
「なぜの」
「綽空にはまだ、人の師たる資格ができておりませぬ。また、上人に給仕し奉る一沙弥の私に、付人などは持たれませぬ」
「じゃが……」上人は考えこんだが、すぐ白い眉をあげて、
「この法然がゆるすと申したらどうあろうか。念仏門の屋根の下には、階級も、事情もないはずじゃ。何ものにもこだわらず、あるがままに平等な姿であるのが念仏者じゃ」
「お返し申すことばはございませぬ」
「では、おまかせあれ」
「はい」
「蓮生、伝えてやれ」熊谷蓮生はすぐ起って、
「よろこびましょう」と、外へ出て行った。
覚明は、雀躍りして、やがて綽空の前にひざまずいた。綽空は、叱った。
「なぜそんな礼儀をする。上人のおゆるしによって、お汝も入室されたのだ。今日からは、いわば綽空とも同様な同寮の清衆であるのだ。この身に侍くなどと思う心をすてて、お身と共に、念仏に専念することじゃ」
「ありがとう存じます」覚明はそういわれた旨をよく体して、禅房の末座に加わって、薪を割り、水を汲んだ。