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しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
二日の朝、都にある叡山の横川の旧友から、赦免を祝う手紙がとどいた。そのほかの人々からも急に、ここへ届けられる書状が殖えだした。
それらの消息から親鸞は知ることができたのである。――行住坐臥、心のうちで、気にかけている師の法然上人の安否を。
で――彼が知り得たところによると、師の法然は、去年の十一月下旬には、早くも、恩命に接して、配所の讃岐を船で立たれ、元の吉水禅房へ帰っておられるということであった。
「お目にかかりたい」師を思う時、親鸞は甘える子のように、自分を抑えきれなかった。
(一刻も早く)と思い、
(越しかたのつもる話を)と、矢もたてもなく、慕わしくて会いたくて、じっとしていられなかった。
「わしは、都へ立つ。――すぐに立つほどに、支度してくだされ」急に、こういい出したのが、正月の二十五日だった。雪で里の者も通えなくなったころである。
三
「えっ、すぐに?」と、人々は疑ったほどだった。
親鸞の決心は固い。
「そうじゃ、どうしても、師の法然御房にお会い申したい。雪解けを待っていては、三月になろう。同じ雪のあるうちなら、今の間に――」と、いうのであった。
供には、生信房と西仏と――また、新しく弟子となった佐々木光実、釈了智の兄弟。