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しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
範綱は、ひそかに、
(いずれも、一時の不平の寄り集まりじゃ、このまま、自壊してしまうかも知れぬし、そうなれば、かえって法皇のおんためというものだが)近ごろ、どことなく鬱結しているものが、院のほかから炎を噴いて出ることが祈られた。
だが、最初に、密使としてここへ訪れた多田蔵人は、洛中の騒擾にまぎれて、あれからも、しきりと一人でこっそりと訪ってきた。
「――お不快なそうじゃが、だいじにせられい。いやなに、強ってお目にかからいでもよろしい。拙者は、お預け申してある平家の諜し者めを、調べて立ち帰る」そういって、家人に裏庭へ案内をさせた。
いつぞやの雨の夜、大騒ぎをやって捕えた曲者は、一時、納屋へ押し籠めておいたが、家人が物を出し入れするごとに不安だし、もし逃げられて、六波羅へ、あだ口をきかれたらばお館の御運命にもかかわるといって、箭四郎が、急ごしらえの牢を作った。空いている厩へ、材木を組み立てて、その中へ抛りこんでおいたのである。
「見るからに、強情そうな面がまえよ。きょうこそ肉をたたき破っても、口を割らせてくれるぞ」蔵人は、牢の外から宣言して、曲者を、縄目のまま、外へ出させた。