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しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
ましょうか、格天井の組みとか、欄間細工などの仕事になると、平次郎でなければほかの大工にはできないというので、仲間の者も、つい、憎みながらそれには一目おいておりますので」
「だまれ」国時は、叱咤して、
「たとえ、建立の仕事の上で、どのように必要な職人であろうと、畏れ多くも、勅額を奉じ、衆生のたましいの庭ともなろうこの浄地に、しかも、まだ普請中から、血をもって汚すようなさような無頼の徒を、なぜ、使用しているか。ゆるしておるか。――他の職人どもへの見せしめにも相成らん、きっと、厳罰を申しつけい」
「恐れいりました」
「すぐにせい。――そうじゃ、この地域の内では刑罰はならん、あちらの草原へ曳き出して、首を刎ねい」
「はっ」
「猶予するなっ」
「かしこまりました」城主の命である、奉行の藤木権之助も、大工棟梁の大膳も、色を失って、蒼惶と立ちかけた。すると、
「あ……お待ちなされ」静かな親鸞のことばであった。
人々のあいだへ歩み寄って、
「もいちど、今のお話を、聞かせてもらいたいが――」と、その辺の材木の端へ腰かけた。
五
大膳と権之助のふたりから、平次郎の常々の行状やきょうの出来事を、改めて、もいちど審さに話すと、親鸞はいちいちうなずいて聞いていたが、