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しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
大熱を発して、昼も、どうかすると大廂に、三位頼政の首がぶら下がっているの、屋根のうえを、義朝の軍馬が翔けるの、閻王を呼べの、青鬼、赤鬼どもが、炎の車について、厩舎門の外に来ているのと、変なうわ言ばかりを洩らすのであった。
だが、宗盛をはじめ、平家の親族は、かたく、清盛の病気を秘して、
「口外無用」と、宿直や、典医や、出入りする将へも言いわたしていた。
頼朝の兵は、枯れ野の火のように、武蔵を焼き、常陸へ入る。
義仲は、近江路へと、はや、軍馬をすすめていると聞えた。
そうした、眼まぐるしい、一刻の落着きもない都のなかを、毎日、十八公麿は、がたがた車で、日野の学舎へ一日も怠らずに通いつづけているのである。
すると、ある日、悪童組の寿童丸や、ほかの年上の生徒が五、六名、民部の留守を見すまして、
「やい、牛糞町の童」と、十八公麿をとりまいていった。
「おまえの父親は、六条の範綱ではあるまい。ほんとは、日野の有範の子じゃろう」
それは十八公麿も、知っているので、かなしくはなかった。黙って、澄んだ、まるい眼をして、そういう悪太郎達の顔をながめていた。
寿童は、脅かすように、