Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
しかし、範宴は、
「わしに、そんな重いお勤めが、できるかしら」と、今朝は、心配していた。
「おできにならぬことを、座主がおいいつけになるわけはありません。及ばずながら、性善坊もお仕え申しておりますし、無動寺には、留守居衆が、そのまま、役僧として万事の御用はいたしますから、決して、お案じなさるには及びません」範宴はうなずいて、
「座主は、きっと、私を、お試しになるお心かも知れぬ。わしに、怠りが出たら、そちが、鞭を持って、打ってたも」
「勿体ない」と、性善坊はいった。
「そのお心がけで参れば、きっとご修行をおとげあそばすにきまっている。――私こそ、お師さまのお叱りをうけなければ」
「お互いに、修行しようぞ」
彼と性善坊とが、主従ともつかず、師弟ともつかず、親しげに話してゆく様子を後ろから眺めながら、ぽつねんと、独りで遅れて歩いて、孤雲は、淋しそうだった。
その気持を察して、
「孤雲どの。――いいあんばいに、お日和じゃな」などと、話しかけては、性善坊が、足をとめて振りかえった。
「――そうですね、降るかと思いましたら、霧が散って、八瀬の聚落や、白川あたりの麓が見えてきました」