Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
「さすがは、前関白の聟取、たいそうな調度じゃわえ」
「お式は、西洞院のほうでなさるのか」
「そうらしいて」
「お道具などは、ともかく、あの花のような末の姫を、わがものにする若法師めは、いったい、何という果報者だ」
「法師は、木の端けらというに」
「ああ、俺も、木の端になりたい」巷の人々は、西洞院へゆく荷物の通るたびに、羨望の眼を辻から送っていた。
「もし、ちょっとお訊ね申すが……」と、その人群へ、錫杖を止めた山伏がある。久しぶりに、峰入りから都へもどってきたものとみえ、山伏は、髯をのばし、皮膚は、松の皮みたいに赭黒かった。
「はい、なんですか」一人の凡下が、剽軽にいう。
山伏は、するどい眼で、今通った婚儀の荷を振りかえりながら、
「何か、めでたい儀式があるというが、その聟殿は、何者でござるか」
「まあ、聞きなさい」
凡下は、手振りをして、
「九条様も、物好みでいらっしゃる。七人もご息女のあるうちでも、眼の中へ入れてしまいたいほど、可愛くてならない末姫を、どうでしょう、人もあろうに、法然上人の弟子の端から選り出して、それへ、くれるというわけなんです」
「その弟子とは」
「綽空というんです。