Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
「その傷負いの男、名は実性というのじゃ。山門の僉議を盗み聞きしている折を看破する者あって、半死半生にしてくれたが、後で、一山の大衆がいうには、あのまま逃がしたるこそ残念、生け擒っておいたなら、朝廷へ上訴の折には、よい生き証拠であるものをと――後から出た智恵じゃ、それからの手分けとなって、谷間谷間麓から白河のあたり、隈なくたずねて来たのでおざるよ。――するとな、仏神のおみちびきといおうか、誰か、川の下流へうっすら血のような物を洗いながした者がある。来てみると、おんもとがここにおられた。……ははは、まさか血しおを洗われたのではあるまい。したが、一応は吾らにその謎を明白にしてもらわにゃならん。さもなくば、足もつかれたところ、草庵のご縁先で白湯なりと一服いただこうか――」
七
朝の清掃が済むと、性善坊は六条まで行く用事があるといって、後をたのんで出ていった。
輦小屋の中の実性は、まだすやすやと昏睡に墜ちている。
その隣の牛小舎は空で、陽がいっぱい射しこみ、牛は遠いほうで草を喰んでいた。
(――牛のかわりに、この中へ入っていたら、暢気であろうな。おれのように、なかなか雑念も煩悩も捨てられない奴は、それがいちばん解脱の近道かも知れないぞ)