Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
自分ではいつまでも、
(まだいかん、まだ脱けきらん)と、しきりに常々いっているが、この居眠り顔は、いかにも生ける羅漢であった、菩提の光がうしろに映しているかのようだった。
ばたばたと跫音がしたので彼は眼をあけた、渋そうにその眼を横に向け、なんとはなく驚いて立ち上がったのである。
「覚明さん、はやく来てください」誰か呼ぶ――そして跫音はまた、小屋の蔭へあわただしく消えてゆく。
「なんじゃ」覚明は、駈けて行った。
すぐその眼に映ったのは、草庵の裏にある川べりで、二人の大法師が、薙刀をかかえ込み、裏方の玉日を取り巻いて、なにか穏やかならぬ暴言を吐いている様子。
覚明の大きな体が、あんなにも軽捷なるかと思われるほど、その行動は迅かった。
「――あ痛っ」法師の一人は、撲られた横顔をかかえ、よろめきつつ、
「何をするかっ」いうまに、覚明の手は、もう一人の襟がみへ伸び、
「こうする」ひき寄せて、腰帯をつかむと共に、ぶんと振廻して大地へたたきつけた。
輦を焼く
一
三月初旬の朝である。
京都六角堂の精舎から、かがやかしい顔いろを持って、春かぜの吹く巷へ出てきた旅の沙門がある。