Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
六
「まず、坐るがいい」
と沢庵は、救いを与えて、
「うそと思うなら、これから、蕎麦粉でも土産に持って、姫路城の輝政殿を、ぶらりと、訪ねて行ってもよろしい。――だがわしは、大名の門をたたくのが、何より嫌い。……それに、宮本村でこうこうとお前の噂でも茶ばなしに出たら、早速、切腹ものじゃないかな、だから、最初から、およしというたのに、武士は、後先の考えがないからいかん。武士の短所は、実にそこにある」
「…………」
「刀を、床の間へお返し。それから、もう一つ文句がある。孫子を読んだことがあるかい? 兵法の書だ、武士たる者、孫子呉子を知らん筈はあるまい。――それについてな、宮本村の武蔵を、どうしたら、兵を損ぜずに、縛め捕れるか、その講義をこれからわしがしようというのじゃ。これや、貴公の天職に関するな、慎んで聞かずばなるまいて。……まあ、お坐り、お通さん、一杯酌ぎ直してやんなさい」
六
年からいえば、十も違うのだ、三十だいの沢庵と、四十を出ているどじょう髯とは。――しかし、人間の差は、年にはよらないものである。質でありまた質の研きによる。平常の修養鍛錬がものをいうことになると、王者と貧者とでも、この違いはどうにもならない。