Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

「お通さん、何を考えているのかね」

「わたし? ……」

お通は、焔で腫れぼったくなった瞼を星の空へ外らして、

「――私は今、この世の中というものが、何という不思議なものだろうと、それを考えていました。じっと、こうしていると、無数の星が、寂寞とした深夜の中に――いいえいい違いました――深夜も万象を抱いたままです――大きくそろそろと動いているのがわかるではありませんか。どうしても、この世界というものは、動いているものです。それを感じます。同時に、私という小ッぽけな一つのものも、何か、こう……眼に見えないものに支配されて、こうしている間にも、運命が刻々に、変っているんじゃないか……などと止め途ないことを考えておりました」

「嘘だろう。……そんなことも頭にうかんだかも知れぬが、其女には、もっと必死に考えつめていることがあるはずだ」

「…………」

「悪かったら謝るがの、実はお通さん、そなたの所へきた飛脚文を、わしは読んでおる」

「あれを?」

「機舎の中で、折角、拾ってやったのに、手にも触れんで、泣いてばかりおるから、自分の袂に入れておいたのじゃ。……そして尾籠な話じゃが、雪隠の中で、退屈しのぎに、細々と読んでしもうた」