Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
二
沢庵にことわられたせいか、役人たちは、武蔵の体へ、指も触れないで、
「――どうぞ」
と、促す。
黙って尾いてゆくと、そこは風呂場だ、風呂に入れとすすめるのである。すこし勝手のちがう気がする。それに、お杉婆の策にかかった時、風呂では苦い経験を武蔵は持っている。
腕を拱んで考えていると、
「お済みになられたら、衣服はこちらに用意してござるゆえ、お召しかえなされい」
と、小者が、黒木綿の小袖と袴を置いて行った。
見ればそれには、懐紙、扇子、粗末ながら、大小も乗せてあるではないか。
二
姫山の緑をうしろに、天守閣と太閤丸のある一廓が、白鷺城の本丸だった。
城主の池田輝政は、背がみじかくて、うす黒いあばたがあり、頭は剃っている。
脇息から、庭を見やって、
「沢庵坊。あれかよ」
「あれでござる」
そばに控えている沢庵が、あごを引いて答えた。
「なるほど、よい面だましい。お汝よく助けてとらせた」
「いや、ご助命をいただいたのはあなた様からで」
「そうではない、役人どものうちにお汝のようなのがいれば、ずいぶん助けておいて世のためになる人間もあろうが、縛るのを、吏務だと考えているやつばかりだから困る」